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「桜蘭からアフガンへ」

text by:TOMOKO
月はひとつなんですよ。東京の星の少ない空に浮んでる月と、カブールの埃にかすんだ空に浮かぶ月は一緒なんですよ。奇跡!と、いうわけで、月に頼めばウサギ飛脚が想いを届けてくれるんですねーべんりべんり。なんでカブールの月かっていうと、直キューときたら、突然お互いを知りあって突然私が元彼のとこから家出してリハウスした2週間後にアフガンへ1年間の出張に行っちゃったから。家出なんかしちゃったもんで、付き合いたての愉快な日々なんて訪れるはずも無く、過去の精算に追われるままあっという間に涙のお別れ。
21世紀に生きながら、メールもできぬ、電話もできぬ、手紙すら届かない、ほんとの陸の孤島に行ってしまった、、、当時(2002年秋)のアフガンなんて聞いただけでもそら恐ろしい、生きて帰ってきてちょうだいよなんて真面目に人の命の心配をすることになるとは思ってもみなかったー。で、またこれ、ロマン続いちゃうんです。直キューがアフガンに行ってすぐ、私も仕事でアフガンと接する中国の砂漠(っていってもバカ広いけど)のまん中にぽつんと佇む桜蘭(ロウラン)という遺跡に行くことになったんです。桜蘭とは、昔々、漢民族と騎馬民族が抗争してる時分ちらりとあった国で、本気で沙漠のまん中にあるもんだから5日もテント張って行くんです。さむいさむーい(10月だってのに零下まで下がるわ風はものすごいわ私こそよく死ななかったー)砂と奇岩と蜃気楼の宇宙で火を焚いていた夜、満月だったな。昔の中国の詩で新婚なのに旦那が桜蘭の方に兵士にかり出されちゃったよ、まだ生きててくれてるかしら涙涙っていうのがあったなーその人と同じ月見て同じ気持ちでいるんだ、このまま沙漠を西へ西へ月の沈む方向へ、アフガンまで歩いてでも行ってしまいたい!沙漠の満月と松明、人をその気にさせますよまったく。あそこで月通信を覚えました、月はお使いをしてくれる。伝書鳩より早いし確実。それから1年間、月、見どおし。ほぼ儀式。おかげで2003年秋、めでたく再会を果たしたんですけど、浮かれた頭はいいこと思い付くものですね、南米行こー結婚しよー仕事なんて辞めちまえー、ということで今南米にいるのです。アフガンから帰国して1ヶ月くらいのできごとでした、ひらめきに従うのって楽しいですね。
